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5. プレートガーダーの構造

5.1 考え方の経緯


5.1.1 プレートガーダーもトラスの一種と見ること

図5.1 ラティストラス、James Mann橋、イギリス(鳥居邦夫氏提供)
 この章から、道路橋で多く採用されている単純上路プレートガーダー橋の再現設計を解説します。トラス橋の場合と同じように、プレートガーダー橋も、鉄道橋としての利用から多くの技術的な知見を積み重ねてきた経緯があります。プレートガーダー単独の断面は、薄く、背の高い腹板(web:ウエブ)の上下をフランジ(flange:突縁)で補強し、全体としてI断面に構成して曲げモーメントに抵抗するように設計します。この桁断面を製作し、これを立てて使い、その上に蒸気機関車の動輪のような大きな荷重を載せます。想像すれば分ると思いますが、この華奢なウエブを単独で使えば、簡単に潰れてしまうでしょう。実は、プレートガーダー橋は、平行弦上路トラス橋の構造を踏まえて全体が構成されています。上下のフランジ、帽子で言えば、つば状の突起部分がトラスの上下弦材に相当し、斜材に相当するのがウエブになり、適度な間隔で垂直材の役目をする垂直補剛材を配置します。ラティストラスは斜材を重複して使った構造です(図5.1)。同じアイディアがラティスガーダーです。この形状がレース網状になっているのでウエブ(網目構造の意)と呼ばれ、それを板材で置き換えたことで、ウエブプレート、詰めて単にウエブ、の用語が使われるようになったと想像しています。立体的な構成は、左右の桁の上下フランジ間を適度な間隔で結ぶ、上下面の横構と対傾構を設けます。

図5.2 鉄道橋で使う上路プレートガーダーの構成図
(鋼橋設計資料、橋梁研究会、昭和31年、技法堂)

2009.8 橋梁&都市PROJECT

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