目次ページ,  前ページ,  次ページ

4. トラス橋計算エクセルSoftの解説

4.4 縦桁の計算


4.4.1 縦桁は小支間桁橋の主桁の性格を持つ

 シート番号-3(例ではS31-3)は、縦桁の計算です。縦桁は、トラスの横桁位置を支点とするような、小支間の桁橋の性格を持っています。縦桁間隔は、鉄筋コンクリート床版の支間になり、2m前後です。輪荷重が外側縦桁位置から大きく超えて載荷しないように床構造の縦桁断面配置が決められます。縦桁の支間は、横桁間隔(トラスのパネル間隔)の単純支持桁として計算するのが普通です。縦桁は鉄筋コンクリートのスラブを支えますが、合成桁として扱うことはありません。また、鉄筋コンクリート床版は、橋の支間方向に連続させて施工しますので、縦桁は横桁位置を支点とする多径間連続梁の性格があり、また、振動測定でもその性質が観察されます。しかし、縦桁全体を連続梁として扱うためには、少なくとも縦桁のフランジを連続させなければなりませんので、横桁との添接の構造が面倒になることを避けます。したがって、設計計算では、安全側に計算値が得られるような力学モデルを考えます。並列縦桁に対して、鉄筋コンクリート床版は自動車輪荷重の横分配の作用も考えられますが、最も単純な(1,0)分配で済ませます。縦桁は、小橋梁の主桁の性格がありますので、応力に検証と同時に、撓みが許容範囲にあることを確認します。自動車の輪荷重を>1:0 分配しますと、内側縦桁の負担が大きくなることから、緩和措置が考えられています。H14ではこの規定がないために、内側の縦桁の応力度はほとんどが許容値を超えることになります。縦桁を連続桁として考える規定はS31 ではありません。S39 より登場した考えですが、当時は技術基準の先取りがよく行われていました。エクセルSoftでは「構造係数」を入力するようにしています。現場調査では、縦桁が単純か連続かを確認する必要があります。鉄筋コンクリート床版は、橋軸方向に鉄筋を連続させますが、横桁上で亀裂を見ることがあります。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

前ページ,  次ページ