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4. トラス橋計算エクセルSoftの解説

4.3 鉄筋コンクリート床版の計算


4.3.5 実際のコンクリートは引張強度もあること

図4.4 RC床版の鉄筋配置図
 小さな石橋は、寺社の庭園などで普通に見られます。コンクリートは人工の石材ですので、同じように小橋としても使うことができます。しかし、石橋の類は、もし亀裂が入ると瞬間的に破断するような物騒なところがあります。コンクリート桁に入れる鉄筋は、コンクリートに亀裂が入ると効き始め、亀裂が連鎖的に広がることを防ぎます。つまり、鉄筋コンクリート桁は、鉄筋が無くても亀裂が入らない断面寸法を持っています。鉄筋コンクリートの設計計算の仮定は、コンクリートの引張強度を無視します。この計算法は、多くのコンクリート桁の破壊試験を踏まえて、巧みに構成し直した線形計算式ですが、極限設計の実用式になっています。許容応力を低く抑えた通常の設計荷重の範囲では亀裂が発生しないことと、破壊荷重は安全率3が確保されています。したがって、引張側断面に亀裂が目立つようであれば、これは欠陥設計か欠陥施工の疑いがあることになります。鉄筋は、コンクリートに亀裂が発生してから効き始める部材です。再現設計の結果を判定するときは、応力度の値そのものを見る必要があります。鉄筋の応力度が大きいときは、コンクリートの引張応力度も大きくなっていることを表します。古い橋梁では薄板のバックルプレート(凹板)(図4.5)で床下面を構成し、その上に砂利や砂を詰め、路面を舗装材で仕上げました。床部分の重量が大きくなる欠点があります。バックプレートは四辺をピン支持として計算されています。図4.6 は隅田川の駒形橋の計算例を示したものです。
2009.7 橋梁&都市PROJECT

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