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3. トラスの影響線

3.2 最大最小の影響値と影響線面積


3.2.4 床版は影響面の考え方を抽象化した単位幅を考える

 鉄筋コンクリートの床版、さらには鋼床版の力学モデルと計算法については、多くの議論と研究がありました。どちらも、マクロに見て、二次元的な版構造(スラブ)と仮定します。集中荷重が作用したとき、二方向の曲げモーメント分布を影響面の形で解析します。タイヤの輪荷重は、針のような尖った力ではなく、タイヤの接地幅・接地長さ・舗装及びスラブ厚を考えた等分布荷重に広げて載せます。このときの曲げモーメントの分布から、鉄筋コンクリート単位スラブ幅(1m)当たりの曲げモーメントの算定経験式がS31から規格として提案されました。鋼床版は、箱桁構造の上フランジを構成する使い方に始まりました。鉄筋コンクリート床版よりも重量が軽くなりますので、最初から鋼床版を使うトラス橋も架設された例があります。鉄筋コンクリート床版を鋼床版に取り替えることで、主構造の耐荷力を上げる改良工事の例もあります。鋼床版の計算では、まず、縦リブ直上のフランジ有効幅を決めます。鋼床版の力学モデルは、マクロに見て均質な直交異方性板と仮定する計算法と、格子桁計算法との選択があります。薄い鋼板は、局部的に大きな撓みが出易いので、リブとの協力をマクロに見た均質な版とする理論仮定よりは、リブを主材とする格子計算の方が実情に合います。リブ間の鋼板は曲げ作用を受けますので、あまり薄い板が使えません。古い橋梁では、6mm程度のバックルプレート(凹板)を縦桁に載せ、その上に砂利や砂を詰め、路面を御影石などの舗装材で仕上げました。路面電車の軌道部は、この方法で路盤を構成しましたので、床部分の重量が大きくなりました。凹板は、リブ断面に寄与しませんし、リブ間の曲げ部材の作用はありませんが、膜作用で荷重を受け持ちます。この構造は版としての曲げ剛性が低いので、路面の管理に手が掛かりました。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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