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3. トラスの影響線

3.2 最大最小の影響値と影響線面積


3.2.3 床組みは輪荷重を使う

 床組みは、タイヤを介した自動車荷重を直接受けますので、昭和31年の道路橋示方書(S31と略記します)までは、実寸法に近い重量車の、前後輪の位置・タイヤ接地寸法・前後輪の重量を規定していました(T荷重:トラック荷重の意)。主構造にも同じ自動車荷重を載せますが、主構造へは自動車荷重がやや間接的に作用することと、計算方法を簡便化することを含みにして、S31では、等価の活荷重モデル(L荷重:ライン荷重の意)が規定されました。この時代までは、現在のような自動車交通量の爆発的な増加を予想しませんでしたので、トラックを支間方向には1台、幅員方向には車線数だけ並べる方法を考えました。主構造の応力計算に影響線を利用するとき、L荷重を集中荷重として扱う便利さを提案したものです。さらに、一等橋は、一台20tfのトラック重量を考え、二等橋は、その70%としました。これは、二等橋が架設される路線の交通量が確率的に低くなると仮定し、疲労による影響も低いとみなして、活荷重の方を下げた提案にしたものです。道路橋の自動車についても、機関車並みに、支間方向のトラックの重連が考えられます。交通渋滞になると、この状態が起こる可能性があるのですが、その確率は低いとみなしています。H14から、T荷重を実質的に一台25tfに上げ、後輪の軸重も実質的に16tfから20tf(200kN)になりました。トラック寸法については、前後輪の区別を外した1軸の自動車荷重ですので、前輪荷重の影響を割り増し係数で対応するような規定に変更されました。縦桁支間が4m(ホイールベース相当)を超える場合には割り増し係数(最大1.5以下)を掛けることで、間接的ながら連行するトラック荷重の影響も考えています。主構造は、床組みよりも支間が長くなり、重量車の連行載荷の影響もさらに確率が低いとみなしています。しかし、外国の基準では、戦車のような重量車が或る車間距離を持って行進することを考える場合があります。いずれの場合も、影響線をどのように利用するか、との関連で活荷重が規定されています。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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