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3. トラスの影響線

3.1 影響線の力学


3.1.4 トラス橋の影響線は間接載荷を考える

図3.5 デッキトラスの一例:側面図・断面図・垂直材の影響線
 通常の橋梁構造物は、主構造(主桁)に自動車荷重が直接作用しないように床組み構造を介します。床組みは、厳密に考えると、横桁位置を弾性支点とした連続桁構造の性質も持ちます。トラスの影響線は、単位荷重を格点位置ごとに離散的に作用させ、格点間を直線で結んだ折れ線です。この考え方を間接載荷と言います。鉄筋コンクリート床版を介する道路橋の桁橋は、直接載荷で計算しますが、荷重の方をモデル化します。トラス橋は、弦材の交わる個所(格点)を横桁で繋ぎ、これを支点とする小橋梁を載せるように床構造を組み上げます(図3.4)。通常のトラス橋は、活荷重の通行位置を、トラス全体をマクロに見た箱構造の内側(下路橋:スルー:through)にします。床組みの縦桁は、この小橋梁の主桁の性質を持ちます。上路橋(デッキ:deck)は、山間部のように、トラス高さ分だけ道路面を高く取れる余裕のある個所で採用します(図3.5)。この図の中に垂直材の影響線を示してあります。垂直材は上弦材の多径間連続桁の中間支点となりますが、実際の計算では、左右のパネルを単純桁として考えますから、影響線は反力と同じとなります。デッキトラスの場合、上弦材に直接床版の荷重が作用します。このために、上弦材には軸方向力と曲げモーメントが作用することになります。トラス構造は軸方向力のみを受け持つと考えますが、デッキトラスの上弦材は例外扱いをする必要があります。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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