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3. トラスの影響線

3.1 影響線の力学


3.1.2 解析の基本は単純梁であること

図3.2 応力・変形を求める点と荷重作用点
 影響線解析の基礎的な力学モデルは、単純梁です。単位の集中荷重が梁の上(x座標)を移動するとして、注目点を2箇所考えます。一つは、応力または変形を考える場所(x=iとします)、もう一つが単位荷重の作用位置(x=jとします)です。そうすると、例えば、梁の曲げモーメントは、二つの変数の関数ですので、M(i,j)と表すことにします。ここで、荷重作用位置を固定し、桁全体の曲げモーメント分布をグラフに描いたものは、曲げモーメント図です。曲げモーメントを求める位置を決め、単位荷重の位置を変数として描いたグラフが、その位置の曲げモーメントの影響線です。単純梁の場合には、iとjとを入れ替えても同じグラフになります。この性質を対称性があると言います。しかし、剪断力図剪断力の影響線とは同じになりません(図3.3)。単純梁以外の支持形式の梁では、モーメントについても対称性がありません。撓みについてはどのような構造形式であっても対称性があります。これは、相反作用の法則と言われる性質です。

図3.3 単純梁の影響線
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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