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3. トラスの影響線

3.1 影響線の力学


3.1.1 鉄道橋では重要な解析であること

    
図3.1 K18の輪重とその配置
    
 影響線(influence line)を求める、さらに、これを利用する計算の全体は、橋梁工学固有の構造解析です。そもそもの解析の出発は、幾つもの大きな車輪荷重を持った列車が鉄道橋を通行するとき、どの走行位置で、どこに最大応力や変形が出るかを求めることに目的がありました。機関車は、車両を牽引しますので、或る程度の重量を必要とします。日本最大の蒸気機関車は、鉄道マニアからデゴイチの愛称で親しまれた1936年に設計されたD51型です。この機関車の全重量は130tもあり、これが重連で走行するとして鉄道橋の活荷重に使われていました。動輪の軸重が18t(輪重は、この1/2)であることから、この活荷重体系をK18と呼んでいます(図3.1)。その当時の道路橋の設計で使われた自動車荷重は、1台で12t、道路舗装に使う転圧機の方が重く、14t程度でしたので、D51が如何に大きな荷重であるかが分かると思います。したがって、実際の機関車動輪の並び寸法と重量とを元に、最大応力になる場所と積載位置を詳細に探索することに大きな計算努力が払われました。
2009.6 橋梁&都市PROJECT

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