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2. 単純トラス橋の力学

2.4 弦材の影響線


2.4.5 斜材と垂直材は剪断力を伝える部材であること

 斜材と垂直材は、梁としての剪断力と釣合う部材です。上弦材と下弦材とを結びますので、荷重が上弦材の格点に作用する場合と、下弦材の格点に作用する場合とで応力に違いがあります。垂直材は、この違いを直接受けて、単位荷重が上弦格点に載ると圧縮、下弦格点に載ると引張の応力になります。平行弦トラスの斜材は、単純梁の剪断力の影響線に斜材の水平軸からの傾き角度の(D/h=1/sinβ)を掛けて求めます。影響線を決めるときの、梁としての座標位置は、斜材の下側格点です。間接荷重を考えるパネルは、切断法で同時に切られる下弦材のパネル区間です。垂直材を使わない曲弦ワーレントラスの斜材影響線は、少し厄介な扱いになります。図2.9で説明した切断法を使うとき、上下弦材の延長線の交点が注目点として必要です。この注目点から、斜材の延長線に垂線を降ろし、この長さをモーメントの腕の長さとします。注目点でのモーメントの釣合いは、仮に切断して左半トラスを残した場合には左側の支点反力と移動荷重を考えます(図2.10)。移動荷重が支間の右側にあるときは、左側の支点反力の影響線に、下の式で示す係数を掛けて得られます。同様に移動荷重が支間の左側にあるときは、右半分のトラスについて考え、右の支点反力の影響線に係数をかけて計算します。影響線をグラフに表すときは、梁の剪断力の影響線と相似になるように図2.10のように表すことにします。図2.9の方を使って斜材の注目点を求めると、上下弦材が平行に近づくと注目点が無限遠になりますので、扱い易いパラメータを使う方法に直します。それは、上弦材を延ばした直線が、両支点上を通るところの高さを使います。平行弦トラスでは同じ高さですが、曲弦トラスでは高さに差がでます。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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