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2. 単純トラス橋の力学

2.1 トラス橋の構造形式


2.1.3 斜材の向きでハウ・プラット・ワーレンの組方を区別する

 単純トラスの支間方向の側面形状は、支間全長を等間隔の格間(パネル)で切り、全体を左右対称にします。上弦材は圧縮材、下弦材は引張材になります。斜材は、傾きの向きで圧縮材になるか、引張材になります。ハウトラスとワーレントラス組みは、支点寄り最初の斜材が圧縮材です。ハウトラスの残りの斜材は、最初の斜材と同じ向きにしますので、すべて圧縮材です。これに対して、プラットトラスの斜材はハウトラス組みを上下逆向きにした構造であって、斜材がすべて引張材です。鉄道橋に、この組み方を多く見ることができます。トラス高さが高いと、長さの長くなる斜材は、圧縮材よりも引張材で使う方が、座屈に対する安全を考える意味でも効率的です。ワーレントラスは、斜材の向きが交番するW形の組み方です。部材力で言えば、圧縮と引張とが交番します。垂直材を使う場合と使わない場合とがあります。鉄道橋では垂直材を使うワーレン構造が多く見られます。新幹線の富士川橋梁は、垂直材を使わない連続平行弦ワーレントラスが採用され、すっきりとした景観を醸し出しています。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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