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2. 単純トラス橋の力学

2.1 トラス橋の構造形式


2.1.1 平面トラスの組み合わせで計算する

図2.1 トラスの構造形式
 鋼のトラス(truss)橋は、外見的に目立つ構造ですので、鉄橋と呼んで地域のシンボル的な構造として親しまれています。トラス構造物は立体的に構成します。立体構造としての力学計算は条件が複雑になりますので、実用的には平面構造力学を応用します。平面トラスは、真っ直ぐな部材を三角形に組上げた形状単位を繋いで、全体として寸法の大きな柱や梁に構成する構造です。漢字の「構」は、英語のトラスの意義を持っています。マクロに見た全体を梁として使うときは、トラス桁の言い方も見ます。三角形を繋いだ全体の組み方に種々の名称が付きますが、その多くは、組立て形式で特許を取った発案者の名前で呼ばれています。構造形式は、ハウトラス(William Howe, 1803-1852)、プラットトラス(Thomas Willis Pratt, 1812-1875)、ワーレントラス(James Warren, 1783-1860)の三種が代表的です(図2.1)。一つの平面トラスは、マクロに見れば薄い板状の構造です。面内の力には抵抗できても、面外の力には無力です。そのため、薄板を組み合わせて箱に構成するように、平面トラス単位を組み合わせて立体的な構造に構成します。力学計算は、考えているトラス面内の力の成分だけを扱います。面に垂直方向の力に対しては、別のトラス面で受け持たせます。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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