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1. 橋梁設計の実務

1.5 応用の一例


1.5.3 エクセルSoftによる応力確認

 この橋梁は、標準的な設計がされていますので、エクセルソフトによる計算の格好の例題として使うことができました。当初の設計計算書と図面のコピーが残されていましたが、データが見難くなっていましたので、推定で寸法を代入した個所があります。当初の予測とは違って、SM50Y材を使ってかなりスリムな設計であることが分かりました。計算は、4通り行いました。第一は、昭和31年の示方書に準拠した再現設計で、コンクリート床版厚15cm、舗装厚5cmを代入します。当然のことですが、応力度は許容応力度の範囲に収まります。第二は、断面条件をそのまま使い、平成14年の示方書に基づき、活荷重をB荷重とした確認計算です。コンクリート床版の応力度は28%、縦桁は23%、横桁は7%増加し、いずれも許容応力度を超えました。第三と第四は、コンクリート床版厚20cm、舗装厚0cm、それに合わせて地覆高さのデータを変え、昭和31年及び平成14年の基準を適用した確認計算です。第三では、コンクリート床版の応力度が45%下がりました。第四はB荷重による計算です。コンクリート床版の応力度は、第二の計算値の45%減、当初設計時の応力度に較べても30%低下することが分かりました。示方書が異なるとエクセルソフトは別バージョンを使う必要がありますが、断面条件を変えれば一瞬で結果が得られます。この他に、平行弦ワーレントラスにするとどうなるか、のような、力学的な興味で再現計算をすることも試すことができました。このように、実トラス橋が解析の例題として使えましたので、次号からトラス橋を対象としたエクセルSoftの解説から連載を始めます。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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