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1. 橋梁設計の実務

1.5 応用の一例


1.5.1 調査した橋梁の履歴

図1.2 調査橋梁(愛知県)の全景
 図1.2は、愛知県内に架かる主要地方道の橋梁で、支間48m、有効幅員6.0m、2連の単純ワーレントラス橋です。一等橋として設計され、昭和37年3月竣工しました。平成15年度の定期点検以降、現場から、本橋が振動し易い、撓みやすいと言う報告があり、平成17年度に目視による点検が行われました。しかし、橋梁主構にはリベットの破損や疲労亀裂も見つからず、特にこの報告に対する理由がはっきりしませんでした。しかし、床版コンクリートは、床版厚が15cmであったこともあって、それ以前に部分的な損傷個所の補修が何回か行われました。したがって、もう少しマクロ的に、しかも簡単に橋梁全体の健全度を判定するために、平成18年3月に振動調査を行いました。簡易振動測定は、主トラス構造と同時に床版本体、橋台、橋脚も含めました。振動全体の性質は、一般的な統計データと比較して、まずまずの健全度が保たれていると判定できるものでした。トラス主構造の卓越振動数は、約3.2Hz、床版コンクリートでは約11Hzが顕著に観察されました。この振動数は、人の体感では最も感度の高い周波数範囲にあります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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