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1. 橋梁設計の実務

1.2. 再現設計計算の趣旨


1.2.4 材料の積算は単位重量を使う

 橋の設計荷重の見積もりでは、橋本体に使われる材料の体積を計算し、単位重量をかけて重量を求めます。物理的意義の強い比重は使いません。材料は加工して目減りしますので、実重量と積算重量とは違いますが、航空機体の設計ほどに神経質に実重量を計算し直すことはしません。実践的には、全体をならした単位長さ、単位面積または単位体積当たりの重量を使います。例えば、鋼橋の鋼重仮定は、橋通路の単位面積当たり経験値を使います。鉄筋コンクリートや舗装も単位重量を使います。この数は、重量と言う言葉を使いますが、物理的には質量です。荷重として計算するときは、重力加速度を乗じて力(ニュートン)の単位にするのが正しいのでしょうが、理論に走り過ぎます。設計計算書は学術論文ではありませんので、扱われる数値は、一般の人が分かる呼び数で扱うのがよいでしょう。例えば、鉄筋コンクリートの鉄筋直径や材料鉄板の厚さは、元がインチ寸法であったのをmm単位に換算した呼び数が使われます。実際の製作寸法を元にした面積・体積・重量などは、呼び数から計算した値と異なることがありますので、カタログ数値として公表されています。設計作業を経て製作・架設の段階では、改めて詳細設計の図面を描き、それから材料表を作成します。この段階にきて初めて、最初に仮定していた重量の具体的な数値が得られます。構造計算に直接関係する断面寸法以外に、どれだけ二次的な材料が増減するかは、実務経験的な知識に拠ります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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