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1. 橋梁設計の実務

1.2. 再現設計計算の趣旨


1.2.3 単位系は日常感覚に合わせる表現でまとめること

 橋梁構造物は、力学的に解析しますが、公共的に利用しますので、一般の人が分かる書類の表現方法が必要です。設計は、材料の形状、寸法(長さ・面積・体積)、重量を決定する作業です。長さと重さの単位系は、古くは尺貫法、米国に学んだ時代はフィート・ポンド法でしたが、1966年以降は法律で使わないように決められました。しかし、古い構造物を調査するときには、尺貫法もフィート・ポンド法も常識として理解しておきます。メートル法換算の数値に参考単位として併記すると分かり易くなります。このときに使う、例えば「長さ100尺」のような言い方を「呼び数」と言います。テレビ画面やパソコンのモニタ寸法を表す言い方に、例えば「16型」があります。この16は、インチ単位で測った長さですが、インチの寸法表示を使うことが正式にはできませんので、型で言い換えたものです。重量は、学術的に正確を期するならば質量に重力の加速度gが掛かったの単位を持ちます。重量は地球上の場所次第で僅か(1%以下)ですが差があります。橋の設計は、月の上に建設することを考える必要がありませんし、地球上で場所的に重力加速度の違いを考える必要もありません。高度を考えて空気密度の違いによる浮力補正もしません。したがって、実用的な数値は、重さと質量の区別をしません。橋梁の設計に使う荷重や応力の表し方も、実用的には重さです。記号で区別するとき、例えばkgは質量、kgfは力、と使い分けます。自動車荷重を言うとき、200キロニュートンなどと言うのは非常識なのです。「貴方の体重は」と聞かれて、「700ニュートン」と答えるのはブラックユーモアです。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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