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1. 橋梁設計の実務

1.2. 再現設計計算の趣旨


1.2.1 何通りかの再現設計計算が必要になること

 橋梁の建設時に作成された資料が保存されている場合も、また、そうでない場合も、供用中の構造物は、設計の要点をまとめた管理用の要約資料が必要です。古い示方書で設計された橋梁が、現行の示方書に照らして耐荷力に余裕があるかないかを照査するには、何通りかの再現設計計算が必要です。新旧示方書間の大きな違いは、荷重が変ったことと、応力度の表し方が重量単位からニュートン単位に移行したことです。そのため、昔通りの示方書で再現した計算書の数値を、ニュートン単位系に書き換える、または併記する必要があります。さらに、現行の荷重体系を採用したら応力度がどのように変わるか、を知るための検証計算が必要です。設計の段階では、安全設計を目的とした仮定を採用しますので、実際構造物の力学的挙動を知る場合の力学モデルとは異なります。実情に合うように仮定を修正した計算も必要です。学術的に考えるのではなく、どのように計算書の仮定を修正すれば実情を良く表すか、と言う見地で再現設計計算を扱います。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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