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1. 橋梁設計の実務

1.1 設計文書の性格


1.1.4 試行錯誤の過程を残さない文書であること

 公文書として残す計算書は、数学的な計算過程を記録する目的と同時に、論理的な思考過程を説明する文書の性格を持ちます。実際の設計作業は、幾つかの試行錯誤を重ねて、その中から最適と思われる案を決めます。しかし、完成した文書は、最初の設計条件から、無駄のない、定型的で論理的な筋書きで決定に至った経過をまとめます。理論式を使う場合には、誘導の過程、出典の明記と共に、その式の通りに数値を入れて結果を書きます。後の計算で参照される数値は、適度な区切りのところで記録に留め、それを設計照査のときにも使います。したがって、出自が分からない数値が突然現れるような使い方をしません。コンピュータが便利に利用できるようになって、計算手順をプログラミングすることが普通になりました。しかし、省略が行き過ぎて、途中の計算過程がブラックボックス化する傾向があります。EXCELは、事務処理計算を指向したソフトウエアです。技術計算のプログラミング言語としては、不便もあるのですが、組み込み関数が豊富に利用できますし、手順を追って計算を進める途中の過程が見える形でまとめることができますので、今後は多く利用されるようになるでしょう。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

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