1.3.2 等分布圧縮応力を受ける板の微分方程式

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 薄い板単独を単純な圧縮柱のように使う場合を考えるときは、上の式(2)で、y方向の変形を0とします。これは単純な柱としての座屈問題と同じです。式(1)のDは単位幅の板の断面二次モーメントとヤング率とを掛けたものですが、板の場合にはポアソン比μを考える分だけ実質のヤング率が上がります。そうすると、長さbの単純な圧縮板の座屈時の変形は長さbを半波長とする正弦関数になり、座屈応力は次式のように得られます。

 この式で計算される応力を板の座屈の基準応力またはオイラーの座屈応力と言います。数値的な性質を言いますと、軟鋼では(b/t)=30程度の小さな板幅/板厚の比で、座屈応力が材料の降伏点近くの値に下がります。矩形板は周辺での支持と応力分布に種々種々の条件がありますので、ある状態での座屈応力がこの基準応力の何倍になるかを表す係数kで座屈の性質を判断します。このkを座屈係数と言い、座屈の理論的な扱いの場合にはこの座屈係数で整理します。つまり、下の形です。

 土木学会『構造力学公式集』には、種々の荷重条件と境界条件の場合で理論計算した座屈係数が載せてありますので、設計作業ではこの数値を利用するのが実践的です。座屈照査のプログラムWebBucklingでは、内部データとしてこの座屈係数を利用しました。


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