中身が科学技術に関係する書籍、雑誌、レポートの編集には、一般的な文字並びの作文の知識に加えて、三つの問題があることを弁えておきます。
- 第一は、原稿材料として、図(写真とイラスト)を使うことです。これには、その図の出所、言い換えれば、著作権の帰属を明らかにしておく必要があります。
- 第二が印刷技術と関連します。従来の印刷は、図をモノクロでしか扱いませんでした。今後もモノクロが基本ですが、IT技術が進歩してきましたので、図の表示にカラーを使うことができるようになりました。そうであっても、ゼロックスなどの電子コピーは、カラー版の書類をモノクロ版でコピーする利用法が普通ですので、カラーが再生できないことを考えに入れておきます。
- 第三の問題は、数式及び計算書の扱いです。活字を使って数式や計算書の版を組み上げる(植字)には特別な技能を必要としますので、科学技術書を専門に扱う印刷会社がありました。これが、パソコンの数式編集ツールを使って編集できるようになりました。
文学書に代表されるような一般的な作文原稿は、文字並びの集合だけを考えればよく、用紙上の文字の並べ方には頓着しません。著者側には著作権を認め、書物のデザインは編集権の範囲としてビジネスモデルが成立していました。しかし、科学技術の実務の現場では、小部数のレポートを自前で編集する需要が多いので、上に述べた三つの問題の解説が必要です。
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