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7. 文章構成の学問的な扱い

7.1 伝えたい内容を文字で表す


7.1.3 生成は数学用語であること

 話し言葉は、物理的には音の並びです。一般に動物は音の発生と聴取の装置を持ち、音の並びの規則を脳で制御し、理解しています。この規則を言語学では文法と言います。蝉のような昆虫は、鳴き方の規則も器官もソフト的な遺伝情報として組み込まれていて、個別に学習することはありません。人の場合、話し言葉は後天的に個別に学習し、それを記憶する部位が脳の一部にあることが判ってきました。脳梗塞で、その部位に障害が起こると、話しは理解できても全く発声できなくなる症状になります。言葉の発声装置は声帯です。バイオリンの弦は一本ですが、多様な音の高低を発生できます。このときの数学モデルは、一つの単純な線形の微分方程式であって、その実用解は無限に多くのフーリエ級数の組み合わせです。この微分方程式が、母関数(generative function)です。複雑な言語であっても、基本としては単純な文法で組み立てられると言う説が、生成文法の用語の提案になりました。

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