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7. 文章構成の学問的な扱い

7.1 伝えたい内容を文字で表す


7.1.1 言葉は発声と文字表記とを使い分ける

 この第7章から文書の中身である文章の作り方を説明します。そもそも、言葉(言語)は、基本的に音(発声)によって情報伝達(コミュニケーション)をする手段です。これが「話し言葉」です。音は、一過性の物理的現象であって、音の痕跡が判るような具体的な物は何も残りません。社会生活では、「言った・聞いてない」で争いも起きますので、文字を使って話しの内容を記録する方法を必要とします。しかし、日常生活では、必ずしも文字を使わなくても済みます。文化史的にみると、古い時代、固有の文字を持たない言語が普通でした。日本語もそうでした。一つの話し言語の体系は、親から子へと途切れることなく伝えられてきました。話し言葉は、案外なことに、丈夫で厳格な文法の骨格を持っていると同時に、易しく覚えられる面もあります。そうであるからこそ、幼児が5歳くらいに成長する過程で、大人の言語発声の環境に適応できるようになります。文字は、それから教育を介して覚えます。文化的な環境では、義務教育に組み込まれます。教育を受けられない環境では、識字率が低下し、文盲が増えます。しかし、文字で表す言葉は、話し言葉を記録し、再現することを目的とすることの他に、情報(データ)の記録と伝達の手段にも使います。結果として、文字で表す種々の「書き言葉」が使われるようになりました。第一義な書き言葉の利用は、発声に使うことが目的です。ところが、現代になって、コンピュータを擬人化して、コンピュータが理解できることを目的とした言語(Language)も開発されるようにもなりました。代表的にはプログラミング言語がそうです。グラフィックス言語、編集記述言語(Markup Language)、SQL(Structured Querry Language)などの例があります。

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