目次ページ  前ページ  次ページ

5. 図形と字形の作成

5.3 組み版記述言語を理解する


5.3.2 文字の並べ方の技術

 個別の、図形単位として見た文字のデザインに続けて、それを文章として読むようにページ単位の用紙上に並べるデザインの工夫が次の課題です。基本的な編集作業は、縦書きと横書きの区別から始めますが、実用文書では横書きに限定して組み版の標準化を決めています。文字並びを扱うことを組み版(type setting)と言います。更にページ単位のレイアウトにデザインすることが割り付け(layout)です。この全体が編集です。日本語原稿の文章に種々の指示事項を書き込むときの約束は、印刷校正記号としてJIS化されています。この作業をコンピュータに指示させるとき、原稿文字列の前後に記号を含む特殊な文字列を挿入します。これが組み版記述言語(ML; Markup Language)です。基本的な思想をまとめた規則化はISOで提案されたSGML(Standard Generalized Markup Language)です。具体的にはソフトウエア会社の製品に反映されています。ユーザレベルでの利用は、文字並びとして読み書きできる場合と、バイナリーコード化して読めない場合があります。後者はワードプロセッサで採用されていて、ユーザはGUIの環境で作業します。ユーザが組み版言語を理解して使いこなすことに特別な学習を必要とするようになったものの代表が、HTML(hyper Text Markup Language)です。これも、種々の要求に対応させるために、年々進化しています。これらの全体について、大局的な理解に役立つように、表5.1をまとめました。なお、工業製図や地図などに、図と共に説明文字を書き込むときは、文字の大きさ、その並び、文字並びの向きを自由に選べることができますが、こちらは個別に判断すればよいでしょう。

表5.1 文字と文字列編集に使うコンピュータ環境

ソフト種別

商品名など
(例)

文字図形
(フォント)

インタフェース(*)

組み版
(文字並び
表示)

割り付け
(ページ
レイアウト)

作図
○可
×不可

作表
○可
×不可

ライン
エディタ

タイプライタ、
マイコン応用機

プリンタ依存

CUI

OSまたはプリンタ依存
CR,LF,BS,SPなど

×

×

テキスト
エディタ

パソコン用ソフト、
メモ帳、…

OS依存

GUI

OSまたはプリンタ依存
CR,LF,BS,SPなど

×

×

ワード
プロセッサ

ワープロ専用機、
オアシス、文豪、…

OS側で準備

GUI

縦書きにも
対応

用紙寸法を
決めて作業する

×

パソコン用ソフト
MS-Word,一太郎、…

OS側で準備

GUI

高機能化が
進んでいる

プリンタに対応
できる

×

汎用プログラミング言語

Fortran,COBOL,
Basic,…

OS依存

古典的にはCUI

Write文など

Format文など

×

×

数式エディタ

LATEX
組み込みソフト

ソフトで
準備

CUI

CUIの環境ではユーザがMLを書く
GUIの環境ではワープロから利用

×

WEB用エディタ

HomePageBuilder,

OS依存

GUI

専用のソフトもあるが、ワープロ
ファイルから変換する方法が便利

×

作図ソフト

AutoCAD,

ソフトで
準備

GUI

設計製図で線図作成が主目的

表計算ソフト

MS-Excel,

OS依存

GUI

多機能化が進んでいて、
ワープロとしても利用できる

×

WEB表示
専用ソフト

InternetExplorer,
Netscape,

 

GUI

閲覧専用のソフト。グラフィック
ス閲覧用なども増えている

×

×

備  考

(*) 文字の入力は、キーボード操作が基本のインタフェースです。文字並びの画面で指を使う、
マウスで選択する、また携帯端末などの片手操作入力は、能率的ではありません。


前ページ  次ページ