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12. 三次元的に扱う弾性問題

12.3 構造力学の性質で解析する部材


12.3.3 境界条件の仮定が理解し難いこと

 上の項の説明を補います。簡易吊橋の解析は、別の資料で説明してあります。力学原理的に言えば、吊橋は、二つの構造系の中間状態を表します。一つは、の大きさが小さくなった極限が、通常の曲げ剛性EJを持つ梁になる構造。もう一つは梁の曲げ剛性に期待しない場合であって、引張力を受けるケーブルの性質になります。後者の吊橋を無補剛吊橋と言い、歩道専用の吊橋に見られます。吊橋の解析では、梁の境界条件として、通常は、支点上で撓みと曲げモーメント(撓みの2階微分)とが0であるとして解きます。梁の捩じれの力学モデル(図12.2)を見ると、両端固定梁の境界条件を考えています。吊橋の構造としてこの境界条件になることはありませんが、三径間の吊橋を考え、補剛桁を三径間連続としたとき、中央径間の補剛桁が近似的に両端固定梁になります。これは、構造力学的には二次の不静定問題です。一般的な条件を考えてこの問題を解くとなると計算式の誘導が面倒です。図12.2の捩じれの問題に戻ります。これは、両端固定梁を補剛桁とする吊橋と同じ形で数式を扱うことができます。支間中央にトルク荷重を作用させるとして、左右対称にして境界条件を簡単にすれば、支間の左半分を考えることで済ますことができます。解析条件を次のようにします。
・左の支点(x=0):    φ=0、φ'=0
・支間中央(x=L/2):  φ'=0、φ"は、x=0でのφ"の符号を変えた大きさ
・( 0<x<L/2)の区間の捩じりモーメントは、外力トルクTの1/2
・この区間の梁の捩じれ変形φは、支間の L /4点に対して点対称です。(なお、支間の記号にを使い、小文字を避けた理由は、数字の1と間違えないようにしたためです。)

支間中央x=L/2の座標での捩じれ角度φの解は次式です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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