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8. 剪断応力度に関する特殊な問題

8.4 剪断流の不静定問題


8.4.3 構造物として解析する場合の曲げ捻じれ

 部材断面の応力度分布を解析するとき、部材の長手方向によって応力度の大きさが相似形の分布のまま変化するとして扱うことができない場合は、材料力学の課題ではなく、構造力学の課題とするのが適当です。材料力学の課題は、微分的に考えた長さを持つ構造部材とします。部材断面の寸法を捨象して、細い線状の部材として構造物の構成に使います。このとき、構造線の幾何学的な形状(直線か曲線か)の属性と同時に、線の接続と支持方式が関係します。例えば、矩形断面の梁を単純支持した状態では、支点で少なくとも4ヶ所で支えますが、これは捻じれ変形にたいして両端固定の境界条件です。支点位置は、矩形断面の下縁にあって、矩形断面の重心軸の高さ位置、さらには捻じれ中心の位置ともずれる場合があります。第8.3.1項で曲げ捻じれのことに触れたとき、これは構造力学の課題とする方が適していると紹介しました。例えば、二主桁橋の設計をするとき、横桁の剛性を大きくして、橋桁全断面を一つの棒部材に置き換えて解析したいとします。偏心荷重による左右の桁の撓み差は、主桁の剪断力の負担の割合に比例します。左右の桁個別に捻じれ剛性があると、捻じれ角が小さくなり、剪断力の負担が等分に近づきます。そうすると、橋の長さ方向で、主桁個別に伝達する剪断力の分布が変化します。これを解析する力学モデルは、単純捻じれ剛性GKと曲げ捻じれ剛性ECを持った棒として、捻じれ角φを変数として、下に示す微分方程式を扱います。ここに(x)はトルクを作用させる外力です。
   
この式の応用に関しては、具体的な桁橋の設計問題を解析するときに採りあげますので、この章ではこれ以上の説明を省きます。参考には下のURLを見て下さい。
http://www.e-bridge.jp/eb/tcontents/yasasikunai/top.php
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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