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8. 剪断応力度に関する特殊な問題

8.3 棒の捩じれ


8.3.1 二種類の捩じれ剛性がある

 細長い部材を捩じるときの力学では、二つの種類の用語があります。単純捩じれ(またはサンブナンの捩じれ)と曲げ捩じれです。曲げ捩じれについては、材料力学よりも構造力学の課題として扱う方が適しています。その理由は、橋梁構造の構造解析から言えることです。この解説は、後の第8.4.3項で取り上げます。桁を並列にした橋梁では、幅員の片側に偏って載る荷重は、橋全体を捩じります。橋桁に捩じれ剛性が小さい場合、左右の桁の曲げ変形の撓み差で見掛けの捩じれが見られます。これが曲げ捩じれです。見掛けの捩じれ剛性を高めるには、左右の橋桁間隔を広くします。桁橋全体断面をマクロに単一の部材とみると、曲げ捩じれ剛性を定義することができます。これは、橋断面を構成する橋桁の曲げ剛性を質点と見たときの、慣性モーメントです。このため、支間の長い橋を建設するには、相対的に主桁間隔を広げ、幅員を広くしなければなりませんでした。実際の橋梁では、支間/幅員の比は10程度です。戦後(1945年以降)、主構造に捩じれ剛性の大きな箱型断面も採用できるようになって、相対的に幅員を広くしなくても、長い支間を渡すことができるようになりました。この主構造の捩じれは、箱断面を周回する剪断流が寄与します。この捩じれに対する剛性が、単純捩じれ剛性です。箱桁の左右ウエブ間隔、つまり箱の横幅寸法は、橋全体が転倒に対して安全である幅であれば良く、結果的に、通路の幅員を箱桁側面から張り出すことができるようになりました。支間/ウエブ間隔の比を20程度まで大きくできますので、長大橋であっても、橋の外観がスマートになりました。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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