図7.5
リベットで組み立てられた図7.5に示す桁断面において、剪断力S=50 tfを受けるときの綴りリベットに作用する力を計算します。腹板から伝えられる剪断力の流れは、まず左右の山形鋼(アングル材に伝わり、さらにその上のカバープレートへと伝えます。溶接構造では、溶接が桁の長手方向に連続していますが、リベットは、桁の長手方向に板を或る間隔で綴じます。ここではリベットピッチを75mmとしましたが、これは、図7.1の長さΔLに当たります。
断面定数の計算
断 面 |
断面積 |
縦軸距離 |
一次モーメント |
二次モーメント |
|
A(cm2) |
y(cm) |
Q=Ay(cm3) |
Ay2(cm4) |
J0(cm4) |
1CovPL 11×320 |
35.2 |
50.5 |
1778 |
89769 |
4 |
2L 125×90×10 |
41 |
47.8 |
1960 |
93678 |
276 |
0.5 WebPl 9×50 |
45.0 |
25.0 |
1125 |
0 |
75000 |
0.5 WebPl 9×50 |
45.0 |
-25.0 |
-1125 |
2L 125×90×10 |
41 |
-47.8 |
-1960 |
93678 |
276 |
1 CovPL 11×320 |
35.2 |
-50.5 |
-1778 |
89769 |
4 |
Σ |
352 |
|
0 |
442454 |
リベットに作用する剪断力の計算(S=50 tf、リベットピッチΔL=7.5cm))
|
リベット数 |
一次モーメント |
剪断力 |
一本あたり |
|
本数 |
ΣQ(cm3) |
SQΔL/J(kgf) |
ρ(kgf) |
カバープレート接続部 |
2 |
1778 |
1507 |
754 |
ウエブとの接続部 |
1 |
3738 |
3168 |
3168 |
ウエブ中立軸 (*1) |
1 |
4863 |
4122 |
4122 |
ウエブ中立軸 (*2) |
板厚0.9cm |
4863 |
549 (kgf/cm3) |
>611 (kgf/cm2) |
備考 (*1) ウエブの中立軸の位置で、図7.4aのような接続を考えた場合
(*2) ウエブの最大剪断応力度の計算では、ΔL=1として計算する。 |
図7.6
解説
1945年以前の鋼構造物は、殆どリベット構造として建設されていました。1980年代ころから、これに代わる高力ボルト摩擦接合を使うようになりました。しかし力を伝える原理は、リベット接合と共通するところがあります。古いリベット構造物の計算法を理解しておくために、この項で例題として説明することにしました。リベット構造の柱や梁を組み立てるときは、図7.6bのような形式で接合します。図7.6aのような水平な方向のリベット接合は、組み立て目的で使われますが、こここにも剪断力の計算が必要です。リベットの説明は、下記のURLにまとめてあります。
鋼構造物設計アーカイブ「リベット構造」
http://www.nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shimada/Rivet/Index.html
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」 |