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7. 梁に作用する剪断応力度

7.2 剪断応力度を検証する必要のある断面形状


7.2.2 リベット桁のフランジ部分繋ぎリベットの検証

図7.5
 リベットで組み立てられた図7.5に示す桁断面において、剪断力S=50 tfを受けるときの綴りリベットに作用する力を計算します。腹板から伝えられる剪断力の流れは、まず左右の山形鋼(アングル材に伝わり、さらにその上のカバープレートへと伝えます。溶接構造では、溶接が桁の長手方向に連続していますが、リベットは、桁の長手方向に板を或る間隔で綴じます。ここではリベットピッチを75mmとしましたが、これは、図7.1の長さΔに当たります。

断面定数の計算

断 面

断面積

縦軸距離

一次モーメント

二次モーメント

 

A(cm2)

y(cm)

Q=Ay(cm3)

Ay2(cm4)

J0(cm4)

1CovPL 11×320

35.2

50.5

1778

89769

4

2L 125×90×10

41

47.8

1960

93678

276

0.5 WebPl 9×50

45.0

25.0

1125

0

75000

0.5 WebPl 9×50

45.0

-25.0

-1125

2L 125×90×10

41

-47.8

-1960

93678

276

1 CovPL 11×320

35.2

-50.5

-1778

89769

4

Σ

352

 

0

442454


リベットに作用する剪断力の計算(=50 tf、リベットピッチΔL=7.5cm))
 

リベット数

一次モーメント

剪断力

一本あたり

 

本数

ΣQ(cm3)

SQΔL/J(kgf)

ρ(kgf)

カバープレート接続部

2

1778

1507

754

ウエブとの接続部

1

3738

3168

3168

ウエブ中立軸  (*1)

1

4863

4122

4122

ウエブ中立軸  (*2)

板厚0.9cm

4863

549 (kgf/cm)

>611 (kgf/cm)

備考 (*1) ウエブの中立軸の位置で、図7.4aのような接続を考えた場合
   (*2) ウエブの最大剪断応力度の計算では、ΔL=1として計算する。


図7.6
解説
 1945年以前の鋼構造物は、殆どリベット構造として建設されていました。1980年代ころから、これに代わる高力ボルト摩擦接合を使うようになりました。しかし力を伝える原理は、リベット接合と共通するところがあります。古いリベット構造物の計算法を理解しておくために、この項で例題として説明することにしました。リベット構造の柱や梁を組み立てるときは、図7.6bのような形式で接合します。図7.6aのような水平な方向のリベット接合は、組み立て目的で使われますが、こここにも剪断力の計算が必要です。リベットの説明は、下記のURLにまとめてあります。
鋼構造物設計アーカイブ「リベット構造」
  http://www.nakanihon.co.jp/gijyutsu/Shimada/Rivet/Index.html
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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