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2. 簡単なトラスの応力と変形

2.1 静定トラス


演習例題 2.1

図2.5
(1)図2.4に示すように、長さ5mの2本の鋼棒でB点がピン結合されていて、=5 tfを受けている。部材の傾斜角は、θ=30度である。部材の応力度が1400kgf/cm2となるように鋼棒の所要断面積を求めよ。また、B点の変位を計算せよ。ヤング率は2.1×106kg/cm2とする。
(解:部材力は5tf、所要断面積は3.6 cm2、直径約2cmの鋼棒を考えることができます。鋼棒の伸びはΔ=0.33 mm、撓みは0.67 mm)
解説:原始的に見えますが、節点法を使います。力の釣り合いを、ベクトルで考え、図を描いて確認します。力の符号に注意します。

          図2.6a                 図2.6b

(2)図2.6は、鋼棒を組み上げて構成した簡単な片持ちトラスである。図のaとbとは、三角形の幾何学的構成が異なっていて、引張り材と圧縮材の長さが違う。=30 tfを吊るとして、B点での撓み、全体の積算重量を比較せよ。ただし、圧縮材と引張り材の許容応力度は900 kg/cm2 と1400 kgf/cm2、ヤング率は2.1×106 kgf/cm2、鋼棒の単位重量は7850 kg/m3とする。
(解:280 kg、308 kg、0.68cm、0.71cm)
解説:実務の構造設計では、圧縮材は座屈が起きないように引張材よりも応力度を抑えます。圧縮材の部材長が短くなるようなトラス組みが工夫されます。斜めの部材は相対的に部材が長くなります。鋼のトラスの形式では、斜材が引張り材になるプラットトラスに組むのが普通です。ハウトラスは、屋根組のような木造トラスで主に採用されます。図2.1のトラス組みで、破線で描いた部材を追加した組み方をダブルワーレンと言い、不静定構造です。計算を単純化するため、X形に組むとき、圧縮材になる部材の方は働かないとする設計仮定がよく使われます。

(3)前問の条件を少し変えて、斜材の重量を最小にするようにACの長さを提案せよ。ただし、水平材の長さは4mと一定にしておく。
(解:図2.6aではAC=9m,図2.6bでは5.2m)
解説:ACの長さを未知数Xとおけば、斜材の長さが決まります。部材力は三角形の辺の長さ比で得られますので、全体の積算重量がXの関数で得られます。この微分を求め、微分値を0にする極小条件で解が得られます。頭の体操として挑戦して下さい。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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