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1. 引張材と圧縮材

1.2 組み合わせ部材の引張りと圧縮


1.2.1 剛性と弾性の表し方

図1.2 
   力が作用して変形する現象の捉え方は、力の方で考えるか、変形の方で考えるかを使い分けます。材料を使う状態では、差し当たって破壊のことは考えません。硬軟の区別は、破壊と関係します。変形「し易いか・し難いか」の区別を言う英語の用語では、前者はelasticity, flexibility、後者はstiffness, rigidityを見ます。引張材・圧縮材を構造物の要素として使用する場合の力学的な挙動は、これをバネの作用と考えるのが理解し易いでしょう。例えば、引張りの外力を受ける長さの部材の伸びは、
   
と書き換えます。ここでCを;
   
と置いたものは、長さの弾性棒をバネ強さ(剛性)の作用に見立てたときの定数です。単位の伸びまたは縮みを起こすときの、力のディメンションを持ちます。バネ定数として見るとき、この逆数は、単位の力を受けるときの変形のディメンションになります。力が作用していても、実質的な変形が0の場合もありますので、数値的にはが非常に大きな数になって、実用的な数値計算に使うときに困ることがあります。そのため、ヤング率を抽象化した定数として式の中で扱い、材料違いを考える実際の数値計算ではヤング率の比を使うことが多く見られます。これは、後の1.2.3項で解説しますが、鉄筋コンクリート部材を扱うときに実用されるがそうです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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