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4. 論理学の応用場面

4.1 自然言語処理の課題


4.1.1 研究の発生場面

 自然言語処理(natural language processing:NLP)は、文書をコンピュータで扱う文字処理の発展として研究対象になった分野です。その文字処理の始まりは、プログラミング言語の設計と、その翻訳ソフト(コンパイラ:compiler)の開発です。歴史の古いCOBOLは、その機能の説明に、English-like Structured Languageとあります。日本語で言えば、英語風の構文を持ったプログラミング言語です。文書(テキスト)を書くための必須のソフトウエアは、テキストエディタ(text editor)です。その発展として、ビジネス文書の作成に利用する需要を反映して、マイコン(micro computer)を利用したワープロ(ワードプロセッサ:word processor)専用機の開発ブームが起こりました。欧米の一般企業は、機械式の英文タイプライタが必須の事務機械でした。それを利用する女性秘書は、タイピング間違いをしないように神経を使わなければなりませんでした。彼女たちが仕えるボスに対して、彼女たちは、英文用ワープロの購入を熱望し、購入しなければストライキも辞さない、と言う雰囲気まで生まれました。これは、大型計算機の開発の方を主な戦略としていた企業の予測には無かったのでした。マイクロプロセッサを応用したビジネス指向のワープロの開発は、結果的に事務処理を主題とするコンピュータの開発へと焦点が移り、パソコン(personal computer)の性能向上に伴って、パソコン利用の時代へと移ってきました。マイクロソフト社のソフトウエアは、秘書の利用を視野に入れて、officeの名称で括ったソフトウエア製品を発売しているのは、この歴史を映しています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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