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3. 演繹と証明の実践的方法

3.2 真偽値を使う演繹の計算方法


3.2.4 演繹を言葉で説明する例題

 命題P、Q、R…にどのような真偽の組み合わせを仮定しても、論理式の結果が常に真になるときはトートロジー(恒真式)です。また、常に偽であるときは矛盾式です。ところが、一般の推論のときは、命題P、Q、R…の真偽のパターンに、幾つかの可能性ができることがあります。例えば、命題Pは、真偽どちらとも言えないときです。これは、条件文が足りない場合です。また、条件文が多すぎると、例えば、命題Pが真の場合と偽の場合、両方の推論が必要になりますが、これがディレンマです。論理式は、ただ一通りの結論が得られるものが最善です。例題として、下の式を考えます。

     A≡(P∨Q)∧(P style='⇒Q) を吟味する

   @ Aが真になる条件−その1 (P∨Q)が真になるための仮定は
   A   Pが真、Qが真と仮定
   B   Pが真、Qが偽と仮定
   C   Pが偽、Qが真と仮定
   D Aが真になる条件−その2 (P⇒Q)も真となる条件は
      Aは成立、
      Bは不成立、
      Cが成立。よって;
   E  AとCと二つの条件から、Pは真偽どちらでもよい。Qは真。

   F Aが偽になる条件−その1 (P∨Q)が偽になる場合
     P、Qどちらも偽
   G Aが偽になる条件−その2 (P⇒Q)が偽になる場合
     Pが真、Qが偽
   H FとGから、Pは真偽どちらでもよく、Qは偽
結論として、論理式Aの真偽は、Qの真偽に等しくな style='り、Pの真偽には無関係です。これは、Pについては吸収律です。そうすると
     F≡[(P∨Q)∧(P⇒Q)]⇒Q の形を考えれば
     F≡ Q⇒Q 
となり、表3.1で計算した恒真式になります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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