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3. 演繹と証明の実践的方法

3.2 真偽値を使う演繹の計算方法


3.2.3 推論の方法

 幾つかの命題(複合命題も含む)A、B、C…があって、これらの間の論理的な関係が論理式(複数の場合がある)で与えられているとします。これらの論理式を使って、元の命題の真偽の状態を決定する具体的な方法を説明します。このときの命題A、B、C…は、肯定命題を標準の形と仮定するのが普通です。推論に使う基本的な関係は、連言・選言・内含の三つです。推論では、この関係が真になる条件を吟味していくのが普通です。しかし、逆に、偽になる条件を吟味して、その条件を除外していく方法も取られます。

(1) 連言(A∧B)が真である条件は、AとBとがともに真であるときに限ります。(A∧B)が偽になる条件の方は、AとBとの可能な選択が増えるので、推論では仮定として使います。

(2) 選言(A∨B)では、AとBとがともに偽であるときに限って選言が偽になる一意性があります。選言が真になる条件は、AかBか、どちらか真であるか、と両方真であるかを二度吟味しなければなりません。

(3) 内含(A⇒B)は、推論に利用するとき、最も間違えやすい規則です。内含は、Aが真、Bが偽のときに限って偽になる。そのため、内含(A⇒B)は連言(A∧)の否定と等しく、さらに、双対原理で選言(∨B)と等しくなります。Aが偽であっても内含は真を返します。したがって、内含が真になる条件を正しく使うためには、Aが真である条件が必要です。その時に限って、Bの真偽は、(A⇒B)の真偽と同じ、と推論することができます。上の条件を正しく使う推論方法が、肯定式、否定式です(表 2-10参照)。また、適用を間違える推論が、前件否定の虚偽と後件肯定の虚偽です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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