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2. 論理演算

2.5 変数を三つ以上使う演算


2.5.11 三段論法

 三段論法は、二つの前提から一つの結論を推論する方法です。基本的な形を論理式にすると、
     「前提1」かつ「前提2」ならば「結論」
と表すことができます。この形は、すでに表2.9で、純粋仮言三段論法、などがそうです。表2-10の肯定式と否定式もそうです。特に純粋仮言三段論法の一般的な形は、次の4つの型があります。
   大前提 と 小前提 ⇒ 結論
   T   (Q⇒R)∧(P⇒Q)⇒(P⇒R)
   U   (R⇒Q)∧(P⇒Q)⇒(P⇒R)
   V   (Q⇒R)∧(Q⇒P)⇒(P⇒R)
   W   (R⇒Q)∧(Q⇒P)⇒(P⇒R)
 上の4型で、P、Q、Rが否定命題の場合を含めるとそれぞれ8通りの組み合わせがあります。また、括弧()全体を否定する組み合わせが8通りあります。つまり、この種の論理式は、全部で4×8×8=256通りもあって、必ずしもすべてが恒真式ではありません。

 定言三段論法は、上の(P⇒Q)の単位の代りに主語を、述語をとする形の定言命題、()で置き換えたものです。逆の命題()の場合もあります。そこで、記号として、Sを小名辞(小概念)、Mを中名辞(中概念)または媒名辞(媒概念)Pを大名辞(大概念)に置き換えたものが、三段論法の型です;
   格    大前提   小前提   結論
   T   (M,P)∧(S,M)⇒(S,P)
   U   (P,M)∧(S,M)⇒(S,P)
   V   (M,P)∧(M,S)⇒(S,P)
   W   (P,M)∧(M,S)⇒(S,P)
 一つの定言命題には(A,E,I,O)の4通りの選択があります。{大前提、小前提、結論}の並びに、この選択の組み合わせを当てはめます。例えば(AEO)のような組み合わせを数え上げると、全部でやはり 256通りの種類があります。しかし、妥当な組み合わせは、次の24個しかありません。
   T  AAA AAI EAE EAO AII EIO
   U  EAE EAO AEE AEO EIO AOO
   V  AAI IAI AII EAO OAO EIO
   W  AAI AEE AEO IAI EAO EIO
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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