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2. 論理演算

2.5 変数を三つ以上使う演算


2.5.1 算術演算の場合の計算順序

 算術計算の手順(ステップと言います)を示すために、数と演算子記号の文字並び(+−×÷)とを交互に書くことを考えて下さい。数が二つで、その間に演算子記号が入る場合の実際計算は、簡単に理解できますし、計算手順を間違えることはありません。例えば、「2÷3」と「3÷2」とは違う結果が得られます。この理解は、割り算記号の意味に、左から右向きに文字と記号並びを判断して演算する約束があるためであって、それが自然です。この約束は、電卓を使うとき、または算盤(そろばん)を使うときの作業手順と同じです。しかし、数を三つ以上使い、演算子記号が二つ以上表れるときは、この単純な約束がいつも使えるとは限りません。例えば、「5+3÷2×7」の文字並びを挙げましょう。電卓を使う場面で、この文字並びの順にキーを押して、最後にイコール記号「=」を押せば、答えは28と得られます。しかし、上の文字並びを数学的に解釈すると、15.5が解です。この違いは何から来るかと言うと、演算子に優先順位があって、掛け算と割り算は、足し算を引き算よりも先に計算を済ます約束があるためです。これは面倒な約束です。数学に達者である人であっても、予測した手順が実際の計算手順にならない事態も起こります。数式を書くときは、括弧を適当に使って、その中の計算を先に済ますようにします。複数の括弧の対が、入れ子状に構成されるときは、最も内側の括弧から計算を済ませて行きます。その括弧の中だけの答えが得られれば、その括弧を削除します。これを繰り返して行って、括弧が無くなったところで、単純な加減算が残り、結果が一意に決まります。上の文字並びならば、次のように括弧を補います;「5+(3÷2×7)」。電卓は、総計用メモリ(GT:grand total)を一つ使うことができますので、そこに個別に得られた計算結果を加算して行きます。しかし、式が複雑になると、GT一つでは足りなくなりますので、メモ用紙に途中結果を書き出しておいて、後から参照します。参照を間違えないようにする方法も技術ですので、ここに上手下手の差が出ます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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