目次ページ; 前のページ

H3. スライド・OHP・AV機器用の作図

一般的な注意

(1)
 スライド・OHP・ビデオなどを使ってプレゼンテーションをするときの図(文字も含めて)の最大の特徴は、投影される図の寸法が一定しないことと、遠く離れて見ることが多いことでしょう。したがって、混みいった図は基本的に良くありません。印刷用に描いた図を転用するのでなく、口頭発表に合わせた図を工夫するべきです。

(2)
 なるべく、テレビの画面に納まる様な横長の図を使い、文字も正位置で読める様に書きます。ビデオで見ることを考えれば、納得できると思います。文字は、読んで理解する間だけ視聴者に負担をかけ、注意が発表者から反れるので説明文などは短いものが望まれます。<

(3)
 レポート用の作図と違って、積極的に色を効果的に使うことを工夫します。OHPの場合は、オーバーレイやマスキングなどのプレゼンテーション技法を工夫すると良いでしょう。コンピュータグラフィックスや、ビデオなどを直接プレゼンテーションに使える様になるには、会場の設備などで、未だ困難がありますが、口頭発表をビデオに撮るなどして練習することを勧めます。ビデオで再現すると、図の良い悪いがはっきりと解ります。

(4)
 親切な説明を心掛けるのは望ましいことですが、マンガ風のポンチ絵を使うべきではありません。マンガの主人公を借りるなどのことは、基本的に著作権に対する無神経さを示すことになります。人によっては、マンガそのものに、あからさまに不快感を表すことがあります。

(5)
 ビデオを使うプレゼンテーションでは、BGM(背景音楽)や効果音を使うことがありますが、学術発表の場では、特別な理由がない限り避けます。

OHP用の文字原稿

(6)
 OHPの画面寸法は二種類あります。何れも正方形で隅が欠けています。
        A型:285x285 mm(A4判の縦寸法は 297mm)
        B型:250x250 mm(B5判の縦寸法は 252mm)
どの装置でも良い様に安全を見越して、版面のレイアウトを決めるのが良いでしょう。
       原稿の透明紙の寸法:    A4(210x 297mm)
       版面の寸法:                B5(179x252mm)
       余白を除いた有効画面:  A5(148x210mm)

(7)
 文字は少ない方が良く、聴衆に文章を読ませることは、基本的に避けるべきです。文字数は、表などに単語として使うとしても、多くても一画面で150字以下とするのが良いでしょう。会場が暗いなどの悪い条件では、文字を読むのに30秒ぐらい神経を集中させなければなりません。文字数が多いときは、講演の論点となる部分を、着色、アンダーラインなどの技法を使って強調します。特に、表などでは、説明に使わないで、参考のため付けてあるデータが多くなりますから、この注意が大切です。

(8)
 横一行の文字数は、文字寸法と関係します。読み易さを考えれば20字(英字は40字)以下が適当です。この値は、高画質のCRTを使わないパソコンのディスプレイが採用していた文字寸法です。映画のスーパ−インポーズや、文字放送の場合は、この二倍の大きさを使います。

(9)
 文字の寸法は、考えているよりずっと大きく書きます。ワードプロセサを使った印刷をコピーしてA5の大きさの原稿を作るなら、4倍角くらいの文字を使います。これは、約20ポイント、高さ 7mmです。図や表の中で記号代わりに使うときでも 5mm、タイトルなどは10mmぐらいです。

グラフ作成上の注意

(10)
 工業における情報伝達の媒体の一つとして、図面は非常に重要ですが、経済活動におけるグラフの利用は、はるかに広いものです。図面も、グラフの分類では単なる線図に過ぎません。製図の描き方の参考書は沢山ありますが、グラフの描き方は、今までの職業教育に欠けていました。しかし、イラストレータは、この道の専門家と考えても良く、また、コンピュータのソフトウエアでも、ビジネスグラフ作成用に良いものが沢山でています。自分で工夫するのも悪くありませんが、これらを積極的に応用することを勧めます。下にまとめたことは、グラフ作成における一般的な注意点です。

(a)
グラフの中の書き込みを含め、簡単な見出し共々、単独で理解できるものにすること。
(b)
座標系は、x軸が右、y軸が上を正の向きとする。単位、尺度が解りやすいこと。
(c)
盛り沢山に書き込まないこと。例えば、棒グラフの棒の数、円グラフの分割数などは7前後が見易い。
(d)
線は、種類(実線・破線など)、色、太さ(1:2:4の比がよい)を変えて、切れの良い形に仕上げる。切れの良さとは、図を拡大したり縮小したりしても図の印象に大きな差がないことをいいます。棒グラフは、極端に太い線を使ったグラフです。

チャート

(11)
 チャートの定義は、論理的なつながりを線や矢印で結んで視覚化したものを云います。グラフは、数量的なデータの図化ですが、チャートは論理的なデータの図化です。したがって、チャートの良否は、作成者が表現したいことを如何に上手に視覚化したかで判断されますから、定形的な作図用コンピュータプログラムはありません。

(12)
 チャートの例は、コンピュータプログラムの流れ図(フローチャート)、工程図、パート図など沢山の種類があり、JISで記号が決められているものもあります。これらは、別の参考資料にまとめました。

前のページ目次ページ