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付録D. 邦文印刷で使う文字と記号

(Appendix D. Typefaces for Japanese Document)


D1. 解説

 印刷物は、活字を並べた版(活版)から印刷するのが基本的な作業です。版を組み上げることを組版といいます。組版は、文字・記号の活字だけでなく、図版や罫線も含みます。さらに、文字や記号の余白部分を構成するために、さまざまな「込め物」が使われます。コンピュータを利用する電子組版においても、活版の技法が形を変えて応用され、そして、かなりの印刷関係の専門用語が引き継がれています。したがって、これらの専門用語について、一通りの概念を知っていないと、電子組版のマニュアルを理解することが難しくなります。

 ここに示した文字・記号の体系図は、印刷会社で鉛の活字を拾い出すとき、これらを何と呼ぶか、という名称を系統的に示したものです。組版は、大きく分けて3種類の材料を使います。これらは、「活字」「約物(やくもの)」そして「込め物」といいます。活字は、文字とほぼ同義です。約物は、記号活字の総称ですが、狭義には句読点などの記述記号だけを指し、その他の記号を「しるし物」といって区別することがあります。図版は、活字を作るのと別作業ですが、表の枠など、線だけを描く材料には「罫(けい)」を使います。込め物は、印刷全体の仕上がりや読みやすさを左右する重要な材料ですので、専門的には多くの材料があり、それらに独特の呼び名がついています。

 日本の印刷技術は、和本の伝統に欧米の技術を受け入れて発達してきましたので、元が欧米語で日本語化し、符丁化した用語がかなりあります。ここに示した用語は、邦文で印刷物を作る際の呼び方に重点を置いていますが、なるべく元の英語などとの対応を付けました。一方、学術論文を英語で編集しようとなると、英語の体系で専門用語の知識を必要とします。これらは別に体系図をまとめました。

 体系図の見方について説明します。

(1)
一つの活字に対して、二種以上の呼び方があるものは、コロン(:)で繋いで、なるべく一行にまとめました。
(2)
なるべく、文字や記号を括弧の中に例示しますが、形はここで使用したワープロのフォントに依存します。
(3)
罫線の種類など、特殊なものは例示してありません。これらについては、下に示すような参考書が役に立ちます。


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