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技術レポートのまとめ方(日本語版)

英語版と1:1に訳が対応しています

初版1990-04-11、HTML版 2001-07-29

0. まえがき  (*1)

 技術レポートの書き方の国際規格としてISO 5966-1982、Documentation - Presentation of scientific and technical reports があります。この Introduction の部分にいわゆる商業出版物でない、小部数の科学技術レポートが情報交換の媒体として非常に重要になっていると述べ、レポートの作成に当たって、磁気記録媒体の利用、検索、抄録、マイクロフイルムの利用など、情報処理の幅広い応用を充分考えるべきである、としています。

 その冊子では、レポートの章・節・項や、図・表の番号付けの約束、内容の構成の仕方などが書かれています。これは、異なる言語や機関で作成したレポートが、ほぼ同じ形式で揃うことを目的としています。個々のレポートの書き方について、細かな規則を決めるのは、それぞれの立場の裁量にまかされています。ここに示した「レポートのまとめ方」は、主として学生の教育を目的にしていますが、広く一般の研究者の参考にも役立つ様に、規則を決めた引用の背景についてできるだけ丁寧に説明しました。

 一方、学位論文の書き方についても、国際規格が定められています。ISO 7144-1986, Documentation -- Presentation of thesis and similar documents がそうです。これはレポートよりも、やや形式を整える卒業論文や、学術雑誌に投稿する時に守るべき規則が述べられています。というのも、これら論文は正式に登録保存の対象となる図書の扱いを受けるからです。最近の学術誌は、著者の原稿をそのまま写真で複製して印刷するものが増えてきています。用紙の節約のためと、仕上がりが綺麗になるので縮小印刷されるのが普通ですが、その目的だけのために特別の様式を決めることは少なくなってきています。この意味からも、普段からきちんとしたレポートを書く習慣を持つべきです。

 この小冊子は、これから述べる「レポートのまとめ方」に沿っていますが、教育用のテキストとして用いるため、必ずしも規則どうりに作られていません。外国人留学生についても同じ内容を伝える様に、和英二ヶ国語版で、ほぼ対訳の形に作られています。


(*1) 章の番号には、小数点を付けるのが日本の習慣になっています。


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