2.9 疲労強度と静的強度

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 リベット継手では、静的な強度と、繰り返し荷重下での疲労強度とが多少異なります。破壊の様相もまた多少相違しています。この差は、リベット材料と板の材料それぞれの材質的な原因によるものと、穴あけ、リベット打ちなどの作業に起因するものと、寸法などに関係するものとの三種を考えることができます。

2.9.1 材質的なもの
 これは、普通の構造用材料としての材料試験に合格するものであれば問題はありません。特に、引張りの伸び率に劣る材質は避けなければなりません。穴あき板の引張破断は、純断面積が減少しているため、無穴板の引張時の伸びと比較すれば全体の伸びは低下し、継手部分が僅かの変形を生じても破断する危険があります。

2.9.2 加工によるもの
 板の穴あけの際、パンチングは穴周辺を損傷しますし、局部的な硬化を生じます。リベット打ちは熱影響と同時に、打撃によって損傷を受けることもあります。材質的な欠陥と共に、これらの損傷部分は疲労強度を極端に低下させる原因となることがあります。一般には、材料の切り欠き脆性などを衝撃試験で試験すれば、大体の傾向を掴むことができます。

2.9.3 寸法比によるもの
 穴あき板は、穴周辺に特に応力集中を生じます。静的な強度の場合には、これらの応力集中は終局強度に何の影響も与えませんが、疲労強度には微妙に作用します。例えば、千鳥に穴を空けた板においては、静的な破断は千鳥に穴を縫って破断が生じるのに対して、疲労破断は力の作用方向に対して、常に垂直な最小断面で破断が生じることが観察されています。これらのことを考察する実験的な方法は、リベット継手の許容応力を決める際に、疲労の特性を加味することで処理しますが、その決定には多くの実験的な裏付けを必要とします。


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