2.7 リベットの引張強度

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 丸リベットは、実験の結果によると、相当な直接引張力にも耐えます。実際のリベットそのものは、曲げとせん断の作用を同時に受けることが多く、強度に対する信頼性が乏しくなります。また頭部の加工の不完全さなどもあって、引張強度を期待させることは、設計においては例外的にしか許されていません。軸応力とせん断応力との共存下における強度は、一般には楕円式で考えます。

これによると、例えば軸応力がσ=σy/2であると、せん断強度が87%に低下することになります。これらのことを考えて、鋼橋の設計示方書では、引張応力の許容できる限度を、材料の許容せん断応力の1/2までは許しています。この値は、τy=0.75σyと仮定した場合、せん断強度が90%になるので、実用上は支障がないと判断されるからです。ただし、これは頭部の完全なリベットについてであって、皿リベットには適用しません。

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