2.6 働長に作用する摩擦力の影響

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 リベットは赤熱して穴に打ち込まれますので、リベットが冷却すると働長が収縮し、接合面を締め付けます。このため、接合する面の摩擦が効いて、綴り合わせる板の辷りに抵抗します。この際、リベットの軸引張力は、ほぼ材料の降伏点にありますので、仮に摩擦係数μ=0.2とすれば、摩擦によるリベットの強度は、リベットの単位面積当たり0.2σyとなります。この値はリベットのせん断強度よりも小さいので、摩擦力は設計では考慮しません。実際のリベット継手の強度の性質を実験的に観察すると、伝達力が小さい間は摩擦力が作用し、ある荷重に達するまでは継手に辷りが生じません。辷りを生じた後にリベット間に力の再配分が起こり、最終的にはリベットのせん断強度、または板の支圧強度で継手の強度が決まります。この性質のため、リベット継手は一般に著しく耐久性が増し、継手に辷りが生じた後でも継手の全体破壊に至るまでには、未だ充分の対荷力を示します


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