2.4 穴あき板の引張強度

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図3 穴あき板の穴周辺の応力分布
 リベット構造物は、板に穴をあけてリベットを打ち込みますので、まず、穴をあける工作上の操作によって穴周辺に損傷を生じることが少なくありません。パンチで穴をあける場合には、局部的硬化の現象も起こります。打ち込み時の熱や打撃によっても影響を受けます。板の二次元的な応力分布や、リベットの働長に作用する支圧応力も複雑です。

 リベット穴をあけることによる板の強度の問題は、特に引張部材において、有効断面が減少することと、応力分布が無穴の場合とは異なって、局部的な応力集中が生じることとにあります。応力集中の理論的な解析については多くの研究があります。大部分は、穴周辺に作用する支圧応力のことを考えないで、穴あき板の引張りについて扱っています。古典的な文献は、Timoshenko/Goodier; Theory of Elasticity, p80に解析解が載っています。結論から言えば、穴の影響による穴周辺の応力分布は、最大で純断面に作用する平均応力の3倍ですが、全体から見れば非常に局部的な性質を持ちます。部分的に材料が降伏点に達すると応力の平均化が起こり、結局のところ穴あき部材の強度は、最小断面積で求めた降伏点強度に等しいことが実験的に知られています。


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