1.2 リベットの種類と形状

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 打つ前の材料を生リベットと言います。この材質は、JIS G 3104 リベット用圧延鋼材SV34, SV41Aの規格があります。これらの鋼材は、引張強度は高くありませんが、降伏比が高く、熱間加工性に富む材料です。生リベットの形状については、土木構造物でよく使用するものにJIS B 1206(丸リベット)、JIS B 1207(皿リベット)の基準があります(附録A.附録B.附録C.)。

 リベットの径を言うときは、生リベットの軸の呼び径を言います。橋梁構造物では、19, 22, 25_のリベットが使用されます。特別の場合以外は殆ど22mmであって、径の種類の異なるリベットを混用しません。リベット値の計算その他にはリベットの呼び径を基準にしますが、製作では呼び径に1.5mm_を加えた寸法で穴をあけ、また引張部材の純断面積の計算では、呼び径に3mmを加えた寸法で計算した断面積を控除することになっています。

 打たれたリベットは、頭の形で、丸リベット皿リベットとに区別します。普通は軸の両端が半球形の丸いものを丸リベットと言います。皿リベットは、一方の頭部が丸い場合と両端が皿のものとがあります。リベットを製図で記入する場合には、見る側(表)に皿があるものを上皿リベット、反対側(裏)が皿で表は丸いものを下皿リベット、両側とも皿を両皿リベットと言い、リベット記号の約束があります(附録H. 土木製図基準)。この他に、平リベットという頭の形状のものがありますが、一般的ではありません。丸リベットの頭部から頭部までの軸の長さを働長といい、この部分が力の伝達に作用します。皿リベットは、皿の部分が板の内部に埋め込まれますので、表面から9mmまでの部分は力学的に無効であると仮定して計算します。すなわち、働長が9mm短いとし、皿による広がりを無視することになっています。設計においては、工場など作業条件や設備が良い環境で締められたリベットを工場リベット、現場で組み立てを目的として打たれるリベットを現場リベットとして区別します。


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