3.3 断面算定の処理(S10),(S11),(S12)
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ここでの計算は、種々の条件に適合するように必要鉄筋量を算定することが主目的です。この処理には3つの画面(S10),(S11),(S12)とデータ入力ウインドウとが使用されます。最初の画面は(S10)であり、解説が表示されます。【OK】をクリックすれば(S11)画面になります。【戻る】は、処理の選択画面(S02)に戻ります。この場合、入力データはそのまま引き継がれていて、次の計算に利用されます。
図3.3 断面算定方法の説明を表示する画面
画面(S11)と(S12)とは、どちらも画面の上半分に、現在の断面計算条件を表示します。画面によって、その下の表示が変わり、処理の進め方、エラーの通知情報、所要鉄筋量の計算結果、などを表示します。断面計算条件は左右2段組みで表示されています。左の欄は基本的なデータとして外力・許容応力・寸法を表示します。右の欄はカブリなどの寸法などですが、詳細設計で変更するまではデフォルト値で使います。
表示されているデータを変更するには、データ入力ウインドウを呼び出して作業します。このウインドウは、(S11)の画面で【1】をクリックすると表示されます。表示内容はの画面と相似です。左側の欄のデータは必ず設定しなければなりませんが、初期値が0のままになっているのがあります。このデータを設定しなければ計算の続行ができなくて、【OK】をクリックしても次のの画面に移らないようにしてあります。そのため、初心者の教育用でもとして、データ入力ウインドウで、Defaultボタンを押せば、デモ計算用のデータが設定されるようになっています。
設計の場合、予備的な計算をして、入力データの大体の見当を付けたいことがあります。とデータ入力ウインドウとは、この予備的な計算処理ができるようにしてあります。曲げモーメント(M)、矩形断面の幅(b)、高さ(h) のどれかが0に設定されていると、現在の条件に合うように予備計算が行われて、単鉄筋矩形梁として必要鉄筋量の計算が行われます。その条件は下のようになっています。
表3 基本設計計算のデータ入力条件の分類
|
M |
b |
h |
As |
As' |
説 明 |
(1) |
◎ |
◎ |
|
|
× |
標準的な単鉄筋矩形梁としてhとAsとを計算 |
(2) |
◎ |
|
◎ |
|
× |
標準的な単鉄筋矩形梁としてbとAsとを計算 |
(3) |
◎ |
・ |
|
|
× |
デフォルト値としてb=100を代入し、(1)と同じ |
(4) |
|
◎ |
◎ |
|
× |
抵抗モーメントM0、Asを計算(全強といいます) |
図3.4 断面計算条件の表示画面
図3.5 データ入力作業画面を表示した場合
図3.6 断面計算条件の表示と共に計算結果を表示した画面
設計を進めるときの手順は下のようにします。
- 通常は、曲げモーメント(M)と幅(b)とを決めておき、h =0に設定して単鉄筋としての桁高を見積ります。桁高は、鉄筋の有効高さにカブリdを加えた寸法です。この記号dは、鉄筋コンクリート理論式で使う有効高さの意味ではないことに注意します。設計断面の記号の意味は、グラフィックスウインドウに作図しますので、グラフィックスウインドウを参照して確かめることができます。
- 複鉄筋で設計したいときは、設計モーメントの50〜90%を代入し、単鉄筋矩形断面で持たせるとした桁高を求めます。計算で求めた桁高は小数以下の端数が付きますので、採用寸法はcm 単位に丸めます。桁高を設定し直し、元の設計モーメントを代入して計算を続行させます。桁高を決めておいて、幅の方を算定したい場合も考え方は同じです。
- 矩形断面の幅と高さとが決めてあって、単鉄筋矩形梁として、どの程度の抵抗モーメントがあって、その場合の鉄筋量を見積るときには、M =0として計算させます。
- 以上の予備的な計算知識を経た上で、M, b, h の設定値から必要鉄筋断面積の理論値が計算されます。このプログラムの最初のバージョンでは、ここから作業を開始するようになっていたのですが、教育的な利用を考えて、予備的な見積りができるように改訂しました。
- 鉄筋は、計算で求めた必要断面積を元に、具体的に鉄筋径・本数・水平ピッチを決めた設計値を求めます。この処理は、の画面から【OK】をクリックして(S50),(S51)の「配筋の計算」画面に移って作業します。鉄筋径を決めた後で、処理は(S11)に戻りますので、データ入力ウインドウを呼び出して、鉄筋径で補正したカブリの数値に変更します。
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