1.3 複鉄筋コンクリート矩形梁の断面算定

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 断面設計の考え方は1.2節の単鉄筋コンクリート矩形梁の設計方法を拡張したものです。コンクリート断面を増加させるように、圧縮側に余分の圧縮鉄筋を入れ、それと釣り合う引張鉄筋を追加します。設計条件として、コンクリート圧縮縁から圧縮鉄筋までの距離d'を必要とします。この値は鉄筋断面の図心までの距離ですので、鉄筋の径と圧縮鉄筋のカブリを勘案して決め、使用鉄筋径を決めた後で寸法位置を補正します。

 実用設計計算は、次のような考え方で進めます。まず、設計曲げモーメントMの70?90%分M1を考え、これを単鉄筋矩形梁として持たせるとして有効高さdと引張鉄筋の所要量As1を求めます。残りの曲げモーメント分30?10%をM2とし、圧縮鉄筋As'と引張側鉄筋As2との対で持たせる様にします。このとき、圧縮鉄筋と引張り鉄筋との距離は(d -d')になりますので、As2はM2/(d -d')σsで計算されます。圧縮鉄筋の断面積As'は、As2との対が単鉄筋の中立軸と一致させるように、一次モーメントの釣り合い条件で求めます。引張り側の鉄筋総量は、As1とAs2との和です。説明用の図は、図1.1にまとめて示してありますので、1.2節を参照して下さい。計算式を下にまとめておきます。
        . . . . . . . . (9)

 実践的に複鉄筋矩形断面の施工を計画する場合、引張鉄筋と圧縮鉄筋の使用比率を一定にしたいことがあります。例えば、上下対称に鉄筋を配置する(As' = As)、または、版の場合には圧縮鉄筋本数を引張鉄筋本数の半分にしたい(As' = As /2)、などの要望条件です。理論式も提案できなくもありませんが、会話型のプログラムの利点を生かして試行修正で設計することができます。


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