0.2 コンクリート材料の設計強度

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 設計に使うコンクリートの強度は、標準の円柱試験体を使った基準圧縮強度を品質管理上の指標に使い、これを元に種々の実践的な設計基準値を決めます。鉄筋コンクリート構造物に使われるコンクリーの圧縮強度は、150?400kgf/cm2程度であり、250kgf/cm2前後が良く採用されています。許容圧縮応力は、破壊安全率を3前後に取り、σcaは50?100kgf/cm2程度です。純引張強度は圧縮強さの約10%、純剪断、付着強度も引張強度とほぼ同じになり、この比率で許容応力を決めています。矩形断面の無筋コンクリート梁が曲げで破壊するときも引張縁の強度で決まります。ただし、弾性的な応力分布を仮定して求めた計算上の引張強度は、圧縮強さの15?20%とやや大き目に得られます。つまり、全く鉄筋を使わなくても、丁寧に施工されたコンクリートの梁は、設計モーメントに耐えるだけの耐荷力があります。しかし、無筋コンクリートの梁では、引張縁に亀裂が発生すると殆ど瞬間的に破断して実用的な部材になりませんので、亀裂の進行を抑えるように鉄筋で補強します。

 鉄筋コンクリート梁の主鉄筋量は、コンクリート断面積の2%止まりです。弾性範囲内では、鉄筋のコンクリートに対するヤング率比nは7前後ですので、鉄筋が梁断面の剛性に寄与する率は15%止まりになります。したがって、梁の設計の基本的な考え方は、鉄筋を含む全断面が有効に働くとして、設計荷重の範囲で引張り側のコンクリートが引張り強度を超えないようにします。つまり、鉄筋コンクリート構造であっても、基本的な耐荷力の大部分が無筋コンクリート断面で担っています。そこで、引張り鉄筋の量は、曲げ破壊時に約3の安全率が得られるように設計が仕組まれています。この全体を実用的に計算する方法が、n=15と仮定し、コンクリートの引張り強度を無視した設計法です。このバランスが微妙にくずれると、設計荷重が載荷した段階で引張り側に亀裂を見ることがあります。


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