0.3 コンクリートの弾性係数の考え方

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 コンクリートを弾性材料として見ると、応力と歪みとの関係は複雑です。これを理論的に扱い易くするには、条件に合わせた弾性係数(ヤング率)を使い分けます。大きく分けて、接線弾性係数と、換算弾性係数とです。実用的には、鋼材の弾性係数2.1×106kgf/cm2を定数として、鋼/コンクリートの弾性係数比nを仮定します。活荷重による変形などの計算では接線弾性係数に基づき、n = 7前後が使われます。破壊状態では、その時点での応力と歪みとを使った換算弾性係数を考えます。鉄筋コンクリートの断面設計では、引張り応力が作用する部分を無視する仮定と共に、n = 15が標準として採用されます。材齢の若い時期から応力が持続的に作用しているとコンクリートはクリープ歪みが加算されますが、それを扱うときには換算弾性係数として、n = 20程度の値を使います。これは合成桁の計算などで応用されています。コンクリート部材の弾性変形を計算する必要があるとき、コンクリートの全断面を有効として計算します。鉄筋コンクリート構造では、鉄筋比が2%止まりですので、鉄筋の寄与を無視したコンクリート全断面を有効に考え、nの値を7前後に仮定します。剪断変形を計算することはあまりありませんが、剪断剛性係数G = E/2(1+ν)を計算するときのポアソン比νは0.1程度を代入します。


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