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EXCEL文書作成の手引き

2. 文書としての書式と体裁


2.3 数式を参考事項として挿入する

 コンピュータを使って科学技術計算をするときは、計算式の説明を書いた別の文書があって、その式に沿った計算手順のプログラム文書を別に書きます。この二つは、文書の性格が異なりますので、共通に使うことができなくて、別作業です。計算式を文字並びで編集する作業は、活字を使って版を組んでいた頃は、特殊な技能と経験のある植字工が作業しました。数式を書く著者は、必ずしも版組に満足しているわけではありませんでした。このことに挑戦したのがクヌース(Donald Knuth, 1938-)であって、Texとして発表したソフトがそうです。これは、組み版言語(ML; Markup Language)の一つであって、数式の文字並びを組み上げることに重点があるのが特徴です。学術論文をまとめる場合に多く利用されています。論文に数式が紹介されていたとしても、普通、具体的な数値計算にそのまま使うことができません。実務で数値計算が必要になるときは、計算式を示し、その式通りに数値を入れた式を並べて書いて、結果を利用します。これは、中学・高校の数学の参考書でも見られます。このようにすると、計算手順と途中での計算間違いの検査が便利です。この文書作成方法を、全部または部分的にもはしょると、計算の手順がブラックボックス化になり易く、教育、また技術移転の目的にも向きません。EXCELが技術計算にも利用されるようになった理由の一つは、計算手順を追いかけることができることです。このとき、計算に使われた代数式が情報として書いてあれば、ずっと使い易い丁寧な文書になります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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