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99. まとめの章

99.1 おわりに

 この「易しくない計算幾何学」の連載は、この号で一応の区切りとします。この課題は、古典的初等幾何学の問題から、最近の新しい問題に至るまで幅広い話題を持ちます。しかし、学問体系として整理・分類をする考え方には研究者間でも見方の違いがあります。筆者の態度は、幾何学に原点のある問題の、実践的な数値計算法に視点を置きました。筆者の専門は橋梁工学ですので、取り上げる例題は構造力学と関連することが多く、また造形を扱う関係で幾何モデリングの解説に多くのページを割きました。計算幾何学を具体的に理解してもらう教育には、使い易いパソコンプログラムが必要ですし、その計算例題を実務から得るようにすることで、プログラムの信頼性が上がります。この解説シリーズにはBASIC文で書いたソースコードを多く紹介しました。しかし、それを実行するソフトウエアが無ければ、単なる埋め草的な記事にすぎません。プログラムはバグが付き物ですので、多くの人が使って、バグ情報などをフィードバックしてもらうことで信頼性のあるソフトウエアに育ちます。このためには、プログラミングの中身をすべて公開する場が必要です。これには経費や、著作権などの問題がからみますので、どのような組織と手続きをすればよいかの具体策は検討中です。

この連載は、インターネット上で閲覧できます。雑誌上の段落単位は、受信するパソコンの一画面にほぼ収まる分量に分けてあります。雑誌面のイラストはモノクロ画像でしか表示できませんが、インターネット版はカラーで見ることができます。アクセスの速度を上げるため、イラストのファイルサイズも抑えるようにしてあります。なお、トレースを必要とするイラストの描き直しと清書は、編集部の富山 隆さんに多くの協力を得ました。ここに記して感謝の意を表したいと思います。
2004.12 橋梁&都市PROJECT

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