目次ページ  前ページ   次ページ

21. 代数学的図形の計量と作図

21.3 図形のコピー


21.3.5 変形を加える作図も広い意義でコピーである

 コンピュータのモニタ画面に表示される図は、元データがあって、それから図を作成しますので、再現性があり、コピーを作成していると考えることができます。したがって、深刻な著作権の問題が絡むことも起きますが、ここでは触れません。図をコピーするとき、種々の加工を加えて異なった印象を持つ図に変換することができます。時系列のグラフでは、事象の大小関係を変えないで、座標軸の尺度を変えて作図する技法も使います。横軸または縦軸だけを拡大・縮小した尺度に変えるだけで、別の印象になることがあります。比例尺を使う図形の変換は、アフィン変換です。小さな数から大きな数までの広い範囲に分布するデータは、対数尺度を利用します。対数尺度を使うと直線図形が曲線になります。元の事象の性質を代数的に整理するとき、対数尺度にすると直線的な性質になることが見つかる例があります。また、フーリエ変換のような数学的な変換を加えて、全く別の図形を得ることも行われます。この方式の変換は図学では扱いませんので、後の21.3節で、あらためて計算幾何学の話題として取り上げることにします。
2009.9 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ