手計算に較べると、コンピュータを応用する数値計算は便利です。加えて、問題の解析手順が分かり易い(ブラックボックスが少ない)ことと、説得力のある結果のまとめ方を工夫することとが、重要視されるようになってきました。解析手順は、上の段落で説明したように文章で表現するのを元に、半ば記号化した文章に直すツールがプログラミング言語です。何が便利であるかは、問題によって考え方の相違がありますが、多くの人が理解できるツールは、Basic流の明快さが受け入れられるようです。ただし、便利に利用できる関数化したツールの種類から言えば、MS-EXCELが便利になってきました。幾何に関係するツールに絞ると、CADに使うソフト以外、便利な市販のグラフィックスツールは殆どありません。筆者が提案しているGeometry-Basic(つめて G-BASIC)は、この解決を目的としたものです。円弧スベリのプログラミングのリストを次ページに示します。元の円弧スベリの解析結果の判断方法ですが、現象としては破壊の解析になりますので確率的な性質の理解が必要です。現実的な境界条件で計算すると、破壊が起きていない場合であっても、安全率が1を下回る結果のことがあります。また、実際に円弧スベリが発生した個所で計算してみると、安全率が1より大きい例外的な結果が得られることもあります。確率的な事象は、いつも例外との付き合いから経験的な知見を積み上げて判断します。
2009.8 橋梁&都市PROJECT |