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13. 透視図と射影変換

13.2 平面図形の射影変換


13.2.3 カメラと対象物との位置関係の考え方

 透視図法は、カメラが無かった昔の時代では説明に苦心したでしょうが、現代ではカメラを使って得られた写真がそうであると説明すれば納得が得られます。カメラを使って対象物を撮影する操作のとき、

@カメラを手に持って対象物の周りを移動してカメラアングルを決める場合
Aカメラ位置を固定しておいて、対象物の方で移動と回転をさせる場合

があります。建物の壁面や、そこに描かれている壁画などの撮影は、前者の方法を取ります。スタジオで撮影できるような対象物は、原則としてカメラを固定し、被写体の方で移動や回転をさせます。どちらの場合も、カメラと対象物とを含めた、全体の世界座標系で相対的な位置関係を決めます。一般的な透視図を作成するとき、通常、複数の立体的な被写体を対象としますので、一つの共通座標系(世界座標系)に統一しておきます。そうして、カメラの方を世界座標の中で移動と回転をさせます。平面図形の射影変換は、代数的には二次元の変換ですが、変換式を導くために三次元的な幾何モデルを考えます。平面図形の座標を表す記号に、この章では(y,z)座標をあて、カメラの視軸方向をx軸としています。この約束は、現実の三次元世界に(x,y,z)座標を当て、カメラを水平に構えて透視図を作成することをモデル化するためです。しかし、最終的な射影変換の表現式にはxを含まない形で整理します。上で分類した@とAは、座標系の約束と変換手順が異なりますが、結果として同じ変換式の形で整理します。
2009.1 橋梁&都市PROJECT

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